2015/11/13 MORSE初日
初見の感想を残さずには居られなくて書きます。ネタバレはかるーく。
大前提として、私の主観だけど、小瀧くんは今とても楽しそう。
★初日公開ゲネプロ後会見にて
「一緒にいるだけで勉強になります。稽古段階で役を作り上げていく芝居が見られたのが嬉しかったですね」
★11/4 ぶ誌
「回を重ねるごとに得ることがあるから、やってて楽しい」
★1016 ぶ誌
「共演者の方の演技に刺激を受け、稽古が本当に楽しいです」
などなど。こうやって何度も「楽しい」ということを口にしていたから。
きっと本心で楽しいことばかりじゃないだろうけどね。パンフレットでは言葉の裏側に隠れた本心が大切だって話もしてたし。淳太には「舞台はそんなに好きじゃない」って話してたみたいだし。
でも今彼がその苦しさやしんどさも全部ひっくるめて「楽しい」って言ってることを感じられるから、2015年の個人仕事が舞台で、というかデビューしてからほぼ初と言っていい大きな個人仕事が舞台で本当によかったと思う。
こういった言葉を聞いてたから、私は意外と初日への不安がほとんどなくて。もちろん緊張は日が近づくとともに増したけど、あとは彼への期待ばかり。1年前の彼からはずいぶん成長したはずで、それを節々で感じていたから。
7月30日の誕生日に舞台が発表されてから、3ヶ月とちょっと。朝何件も入ってた連絡でただ事じゃないと感じたあの日(ちなみに最初はほんとに悪い方のやばいことが起こったと思った(笑))から3ヶ月とちょっと。
ついに初日が来ました。
小瀧望初主演舞台『MORSE』
2015/11/13 19:00公演
私の座席は3階の端っこ。だけど、いわゆる端っこのざわざわとした感じもなく、開演時間前には静まり返るドーム状のグローブ座。皆さん今日の日を心待ちにしてたんだなあと、一人一人の緊張が融合して客席の緊張感は高まってた。
ガタンゴトンガタンゴトン
息を飲むような姿で顔で、小瀧くんは1人立ってた。皆の視線が集まる彼はのっけから孤独なオスカーでした。オスカーの孤独とほんの少しの小瀧くんの緊張から、ほんの少し震えた声で。
そんな場面から始まった1幕は、小瀧くんも一観客の私も終始ガチガチの緊張状態だったように思う。
ただ緊張して失敗するというような弱い彼はそこにはいなくて。あくまでも緊張感ゆえ顔が強張ってた箇所が多かったかなという感じ。一箇所噛んでたけど、そこにとらわれることもなく。
緊張してたからか、気づいてたら1幕終わってて。ほんと一息で見た感覚。小瀧くんの顔を見ていても彼自身が一息だったように思う。それぐらいお互い緊張してた。
インタビューでも話していたけど、映画みたいにコロコロ場面転換するからすぐ次の世界へ連れて行かれる。残酷な場面の後味の悪い余韻が、良い意味で物語全体の雰囲気を作り出してる。そんな風に感じた。
幕間はとても動く気にはなれず1人でぼーっとしてたら20分経ってた。
2幕。さすがに彼も巻き返してきた。
心に突き刺さるセリフがあって。何個も。オスカーが叫んだ声が何度も頭に響くの。直後からずっと終わってからもずっと。
「入っていいから!」
1幕の緊張なんてどこに行ったんだろう。
初日なのにテンポがすごい。
今から考えるとほんとにここ稽古したんだろなあ。台本にいっぱい書き込んで。いろんな読み方してみて。
ちょっと緊張が溶けて、その空いた心の容量はそのままエリとオスカーに吸い込まれた。
「僕にはもう居場所がないんで」
ここまで散々物語に身を任せてそれなりに吸い込まれてたはずなのに、ここで一気に心臓掴まれた気がした。何気ない言葉で、自然な音量で発せられたその言葉が離れなくて。
そして幕が開く前から話題になっていたプールのシーン。水の音が聞こえ始めてから、観客みんな息を止める。これからどんなことが繰り広げられるんだろうって、たぶん隣の人のバクバク聞こえてたぐらいにはみんな同じ気持ちだったと思う。
どんどんオスカーが孤独になっていくのと強くなっていくのとが反比例で突き刺さる。
孤独が強さで塗り固められてたヨンニの兄貴への挨拶。「こんばんは、オスカーです!」も印象的だった。ああ、オスカーってこういう子だなあって。
オスカーが沈められたときから、私が沈められたわけじゃないのに息苦しくて。それこそ文字通りみんな息を止めてたんじゃないかな。
気付いたときにはそこにエリがいて、腕が落ちてて顔が浮かんでて、オスカーが生きてた。
ここで気づく。水から上がってきたときのオスカー、というか望くん私が大好きなやつやん・・・・ここで私のテンションはあらぬ方向に転がされます。
……いやいやいやめっっっちゃ美しいやん。
水で濡れたせいで、はっきりお顔が見える前髪してて、眉毛も目もはっきり出てしまったから、もうそこにいるのは12歳の弱いオスカーじゃなくて。
強かったなあ。成長したなぁ。
(っていうと顔が、って誤解されるね。それだけじゃなくて、ひとつ乗り越えた強さも見えたんだちゃんと。)
エンディングに向かってゆっくり日差しが差して雪が溶けていく感じ。その電車は春の方向に向かってたのかな。眩しかった。
暗転して明るくなったとき、そこにいたのは小瀧望でした。緊張から解かれた満面の笑みで。私実はそこで初めて泣いた。
緊張しすぎてて泣くこともなく息を飲んでたことにこのとき気づいた。
小瀧くんの笑顔見て、安心して涙が出てきて。キャストの皆さんの眼差しで愛されてる「小瀧座長なんだな」って気づいて。
「稽古を長い時間やらせてもらったので、自信はすごくある」
そう宣言した彼はやっぱり只者ではなさそうで、初日だけでなく、これから一ヶ月の期待がまた高まる。
正直気持ちいい舞台じゃないし、終わってからも周りには「しんどい」「気持ち悪い」って嘆いてた部分もあった。
けどこれだけ稽古をつんで、外見から、内面からオスカーになろうとしてる小瀧くんに乗り遅れるわけにはいかなくて。
あ、外見的な感想を述べると、予想以上に金髪が肌に似合ってて、お世辞でも肌白いね!とは言えないけど、努力が可視化できて幸せだった。オスカーに見えた瞬間が何度もあったよ?
これから一ヶ月、今の小瀧くんなら押しつぶされずに「楽しい」一ヶ月に出来ると信じてる。
一ヶ月のあなたが楽しみです。